【部屋を片付けよう】部屋が死ぬほど汚くて死ぬほど後悔したし、今も後悔している。

雑記

部屋が汚くて死ぬほど後悔をしたという話をする。今も、時々思い出しては後悔している。

私の部屋は汚いことが多い。最近は、投資でも少し稼げるようになって、金が入るようになったから、家事代行サービスとかを頼んだりして綺麗になることも増えた。良いことだ。心の乱れは部屋の乱れ。逆もまたしかり。今年3月~6月は仕事に心を殺されていたから、部屋の中もまるで『るろうに剣心』で薫が死んだって勘違いして廃人になった剣心が暴れたの? ってくらい荒れていた。

部屋は綺麗にしたほうがいい。絶対そのほうがいい。私はそれを身をもって学んだ。

大学3年生のころの話をする。大学3年生のころ、私は一人の女性と付き合っていた。そして、悲しいかな、大学生で付き合う多くの男女がそうであるように、私たちの関係は終わりが近づいていた。笑いあっていた私たちの間から笑顔は消え、互いを非難することが多くなっていた。

私はその時、やり直したいと思っていた。そして彼女はもうさっさと別れたいと思っていた。

あるときにひどい喧嘩をした。私の部屋で。その時も確か部屋は汚かった。彼女を呼ぶのにも関わらず。だから喧嘩をしたのかもしれなかった。とにかく、今となっては原因がどんなことかも覚えていないが喧嘩をした。彼女は何かを言って私の部屋から荷物を持って出ていった。足早に。

あまりにもむしゃくしゃしてしまった。そして、さらに部屋のものに当たり散らした私は、台風が過ぎ去ったような部屋を目の当たりにしていた。ひどい状況だった。足の踏み場もない。どこにぶつければわからないような怒りも感じた。

だから、かたっぱしから捨てていった。あれもこれも、目について、大切なもの以外はすべて捨てていった。一切合切捨てた。そうしてごみ袋を十数袋結び終えた時には、私は少しマシな気分になっていた。最初からこうすればよかったんだ。一切合切捨ててしまえば。もう終わった関係もそうだ。

数日後、彼女から電話がかかってきた。灰色の封筒がなかったか? と言われた。部屋を一生懸命探したけれど、なかった。自分の家にはないのか? と聞いたけれど、確実に私の家に置いてきた、と言われた。でもそんなものどこを探してもなかった。

灰色の封筒ってどんなものなんだ? 何が入っている、と少し探した後で彼女に聞いた。電話の先で、彼女はチケット、と言った。私の部屋に確実に置いてきた、とも言った。大阪公演のチケットを二枚分。

キンキーブーツ。彼女がやっとこさ取れたチケットだった。彼女はキンキーブーツというミュージカルが好きだった。アメリカでもシンガポールでもキンキーブーツを見たくらい好きだった。元々劇団に所属していたのもある。キンキーブーツのtシャツを着てシンガポールを歩いていたら、背の高い男の人に話しかけられて、僕もそのミュージカルに出演したんだよって声をかけられた。というのが、彼女の最高の思い出の一つだった。

おまけに、そのキンキーブーツの主演は彼女の大好きな俳優だった。その俳優はキンキーブーツをブロードウェイで見て、こんなに素晴らしいものがあるのか、と感動し、日本でやるときはぜひ自分がローラ(主演)をやってみたい、と思っていたそうだ。そして実際にその夢をかなえた。彼女はその俳優が大好きだった。その俳優が主演でキンキーブーツを上演するなんて、夢みたい、絶対見に行きたいと語っていた。

だから、彼女はそのチケットを取った。東京はとれず、やったこさ取れた大阪公演だった。一緒に大阪に見に行くつもりだったそうだ。彼女はそれを見ることで、何とか二人があの頃に戻れないかと考えていたのだと、別れた半年後に聞かされた。

結局、チケットは見つからなかった。たぶん、汚く乱れた私の部屋のどこかに、チケットは紛れ込んでいたのだろう。その彼女のやり直したいという気持ちは、私が一瞥もしないまま捨ててしまった。

あれから数年が経ち、彼女の見たかったキンキーブーツは永遠に見れなくなった。私はまた夏が来るたびに、捨ててしまったチケットと、見れるはずだった公演と、永遠に見れなくなったローラをふと思い出す。夢をかなえた男のローラをもう見ることはできない。夢を叶えたこともなければ、夢を見ることもできなくなってしまった20代の私に、眩い光の中で生きてきた人のことはわからない。ただその生前の彼が放つ輝きを、願わくば彼女に見せてやりたかった。捨てたのは私。何より私自身見てみたかった。

キンキーブーツに登場する一曲、「Just Be」にはキンキーブーツが最も伝えたいメッセージが描かれている。「Just Be」。自分らしくいようというメッセージだ。この曲でローラは、男らしくならなければならないという呪縛解き放ち、自分のありたい姿で生きていく決意をする。らしい。

見てみたかった。見ていれば何かが変わったのかもしれない。入社以降会社に押しつぶされて、Just Not Meで生きてきた。それでいい。なんにせよ給料が入れば、資産は増えるのだから。

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