この記事を読むと……
☑仮想通貨LUNA、USTについてわかります! ☑仮想通貨LUNAがどうして歴史的暴落を引き起こしたのかわかります! ☑仮想通貨LUNAの今後の復興予定についてわかります!
LUNAについて語るために~まずTerraというプロジェクトがあった~
そもそもLUNAについて語るために、まずTerraというプロジェクトがあったことについて語る必要があります。
そもそもTerraというブロックチェーンがあり、そのネイティブな仮想通貨としてのLUNAがありました。
それでは、仮想通貨LUNAというのはどのような役割を持っていたのでしょうか。
Terraの目的
それでは、Terraとはどういった目的のプロジェクトだったのでしょうか?
Terraのプロジェクトのそもそもの目的は、USTというドルに連動するステーブルコインを発行すること、です。
※ステーブルコイン……仮想通貨であるが、価格が一定であり法定通貨のように使用可能な暗号資産。代表的なものにUSDT、USDC等、1コインの価値=1ドルになるものがある。
そして、そのステーブルコインの価値を1ドルに留めるため、担保するためにLUNAという仮想通貨がありました。
このTerraというプロジェクトにおいては、他のステーブルコインと違って、仮想通貨LUNAでUSTの価値が担保されている点が画期的でした。
他の他のステーブルコインはUSドルやゴールド等で価値が保全されていたからです。
例えば、世界初のドルに連動するステーブルコイン、USDT(テザー)は十分なドル資産の裏付けがあり、現在は監査が行われ米政府規制の下にあります。
また、USDC(下図、写真青)は準備金を現金と短期米国債で十分な量用意し、担保としています。
仮想通貨でUST=1ドルが維持できる仕組み
それでは、どうやってTerraというプロジェクトは、UST=1ドルを維持していたのでしょうか。
それは、市場メカニズムに任せた仕組みにありました。
以下、図で解説いたします。
まず、USTの価格が1ドル以下に下がってしまった場合を考えます。(0.9ドルになった場合を考える)
この場合、投資家はUSTを0.9ドルで購入し、TerraでBurn(LUNAとUSTを交換)し、バイナンスなどの取引所でLUNAを売るだけでノーリスクで儲けることができます。
即ち、USTを買って、LUNAを売るという行動を投資家はとるはずです。
その結果どうなるでしょうか?
合理的に考えれば、USTが1ドルになるまでは、投資家はUSTを買って、LUNAを売るはずです。
こうしてUSTの価格は1ドルまで戻ります。
それでは次にUSTが1ドルを上回った場合を考えてみましょう。
これは、先ほどのケースの逆を考えます。
USTが1ドルを上回って1.1ドルになったとしましょう。
この場合、投資家はバイナンスなどの市場でLUNAを買って、TerraでUSTに買え、USTを売るだけでノーリスクで儲けることができます。
即ち、市場が経済的合理性を満たすのであれば、投資家たちはLUNAを買って、USTを売るという行動をとります。
こうして売り圧力がかかったUSTはいずれ価格が1ドルに落ち着くはずです。
以上がUSTが無担保でも、担保がLUNAという仮想通貨であっても1ドルを維持できるとされてきた仕組みです。
なら今回起こったことは何なのか?
それでは今回どうしてLUNAのー99%超という大暴落は起こったのでしょうか?
そもそものきっかけはステーブルコイン間の競争の激化です。
このステーブルコイン間の競争は「Curve War」としても知られています。
そして今回のLUNA大暴落の陰には、このCurve Warを利用したUSTの大口投資家の姿があるとされています。
それでは実際に何が起こったのか? 見ていきましょう
LUNA大暴落の経緯
今回の大暴落の発端として、USTの価格が大きく1ドルを下回りました。
それではこの下落はどうして起こったのでしょうか?
今回の下落は少数の大口投資家(攻撃者)によって引き起こされたといわれています。
まず、Curve Warに対し、Terraのサービス領域拡大の為、USTを預けている3Poolというところから4PoolというところへUSTの預金を大移動するという計画がありました。
そして、この3Poolから一時的に大きなお金が引き出された時を狙って、何者かが同時に大量のUSTをAnchor Protocolという、Terraの預金口座のようなものから引き出したのです。
この時点でUSTはドルに対し-2%も乖離していてさらにそこへ大量のUSTが引き出されて売られたことや、3Poolから資金がなくなり流動性が一時激減したこともあって、投資家の不安を誘いました。
そして大量のUSTが引き出されて売られたことや、流動性がなくなった投資家の不安を誘ったこともあり、本来UST=1ドルとなるはずだったUSTが1ドルを大幅に下回る状況が始まりました。
それでは改めて振り返ってみましょう。
本来この状況になれば、USTが買われて、LUNAが売られるという展開になったはずです。下図参照。
しかしながら、今回はこの市場メカニズムが達成されることはありませんでした。
なぜでしょうか。答えは簡単でこのUST=1ドルから大きく乖離した時、LUNAの価格も大きく下がっていたからです。
そして悲劇は始まります。
LUNAの価格が下落し、本来担保であるはずのLUNAはUSTの価格を下回ってしまったのです!
USTの価格が担保できないと明らかになった投資家たちは、当然USTは価格が維持できない! 下がる! と思います。
そして、USTを売っても一ドル以下でしか売れない為、LUNAに変えて売却します。
こうなると地獄。
どんどんLUNAは売られていき、そしてUSTの価格が担保できないことが明らかになり、USTの価格も下がっていく。そしてLUNAはさらに売られるという死のループ。
こうなると価格を止める手が何もなく、結果どんどん価格は下がってしまいます。
そして思い出して頂きたいのですが、このプロジェクトの目的は何だったのでしょうか?
そうTerraの目的は1ドル=1USTとなる、ステーブルコインを発行することが目的でした。
もちろんこの時点でTerraブロックチェーンの目的は達せられるわけもなく、無価値になってしまったのです。
そして文字通り99%以上の下落を見せたLUNAは無価値になりました。
まとめ
USTは法定通貨の裏付けなしに、法定通貨のような価格の安定している仮想通貨、ステーブルコインを作ろうという新しいプロジェクトでした。
しかしながら、今回は無惨にも破綻しています。
結局のところ、現代の資本主義という社会の仕組みの中ではいまだステーブルコインが普及されるためには法定通貨を担保とすべきなのでしょう。
実際にUSDT等は監査が行われ、米政府の規制の下にあります。
今回の事件は新たな価値を創造しようとする仮想通貨の大きな流れの中で起きた悲劇、ということができそうです。
やはり仮想通貨はポートフォリオの中でも10パーセント以下に留めておくのがよさそうですね。
リスクを避けて投資するための一つの手法としては、少額からの積み立て投資がありますね。
それでは、今日もいい日になりますよう。
コメント