市場環境は2つとして同じものはないが、時代を超えて類似している時がある。
例えば、2020年にコロナが世界に向けて解き放たれた後の、2021年の最初の2、3ヶ月は、実は1990年代後半のドットコムバブルと多くの特徴を共有しているみたいだ。
二つの似ている相場
- IPOが乱発された
- デイトレードが再び注目されるようになった。
- 投機的な行動が横行した
- テック株が圧倒的だった。
- 人々は、新しいものに投資することに熱狂していた。(仮想通貨含む)
- イノベーションが新しい世界秩序を生み出すかのようだった。
- 多くの投資家にとって、期待は現実からかけ離れたものとなった。
- ウォーレン・バフェットをはじめとするバリュー投資家は、容赦なく馬鹿にされた。
ウォーレン・バフェットにも不遇の時代があったことは、以下の記事で説明しているゴン~
どのようなサイクルでもいえることだが、永遠に続くものはない。
そして実に奇妙なことに、2021年後半から2022年にかけては、ドットコムバブル崩壊後の2000年代前半から中盤と奇妙に似通っているいる点が多い。
- コモディティは暴騰している
- エネルギー株の高騰
- 住宅市場の活況
- テック株は壊滅的な打撃を受ける
- バリュー株はついにアウトパフォーム
- ウォーレン・バフェット復活
- 歴史を永遠に変えたかもしれない地政学的な出来事(9.11とウクライナ戦争)
もちろん、違いもたくさんある。
2000年代前半のインフレ率は8%近くにはならなかった。金利も当時はずっと高かった(2000年から2005年までの10年物国債の平均は5%近く)。
2000年代初頭には、パンデミック、ストリーミングサービス、ソーシャルメディア、iPhone、、、今は当たり前のようにある様々なモノがなかった。
だから、こうした比較は決して完璧にはなりえない。
特に今と昔のもう一つの違いは、ハイテク部門が今ほど大きくなかったことだ。
現在と2000年のS&P上位10銘柄の違いを見てみてみよう。
確かに当時も、マイクロソフト(両リストに登場する唯一の企業名)、インテル、シスコはランクインしていた。
しかし、Apple、Microsoft、Amazon、Google、NVIDIA、Facebookだけで、今日のS&P 500は4分の1近くを占めてられている。圧倒的、というほかない。
ナスダック100ETFの運用資産は1800億ドル近くに達している。
ナスダックは現在、直近の高値から20%下落しており、この売り浴びせで約5兆ドルの富が蒸発したと推定されている。
ドットコムバブルの後、数年の間にナスダックは80%以上下落し、同様に5兆ドルが消し去られた。
ハイテク株には、ハイテク中心のファンド、個人保有株、インデックスファンドを問わず、今世紀に入った頃よりはるかに多くの資金が絡んでいる。
S&P500のセクター別分類
S&P500のセクターというレンズを通して、現在の市況を見てみよう。
S&P自体は、2022年現在、直近の高値から11.5%下落している。
インデックスよりパフォーマンスが悪いセクターは、通信(Facebook、Google、Netflixなどで構成されるハイテク偏重セクター)、一般消費財(Amazonが最大の保有銘柄)、ハイテク、の3つだけ。
エネルギーは今年プラスのリターンを上げた唯一のセクターだが、インデックスの4%を占めるに過ぎない。
つまりほとんどの投資家が、ベストパフォーマーへのウェイトが低く、ワーストパフォーマーの持ち分が高いということ。
だから、ハイテク株が大好きな投資家たちは、(日本にも、レバナス民等、投資をする中で少なくない人々は)ハイテク株が王座に返り咲くには何が必要なのか考えていることだろう。
しばらく時間がかかるかもしれない。
と、いうのも大金融危機が終わってから、ハイテクは実にアウトパフォームしてきた。
バリュー株有利の後、息を吹き返すグロース株⁉
平均を上回るインフレが長期化する状況は、グロース投資家にとっては致命傷。
インフレ率の上昇、(名目)経済成長率の上昇、金利の上昇は、バリュー株に有利な環境となる傾向がある。
でも、このシナリオが続くなら、実はハイテク株が息を吹き返すために必要なものがもう見え隠れしている。
例えば、インフレが頑強に高止まりしているとしよう。この場合、消費者は支出を抑制する可能性があり、またFRBは物価を抑制するために利上げに踏み切る可能性がある。
金利は上昇せざるを得ず、その結果、成長率が鈍化し、インフレ率が低下し。。。
こうして景気後退は訪れる。
でも不況になると、経済成長の鈍化を補うために金利が下がる。
そうなれば、インフレ率の低下、金利の低下、成長率の低下という状況に逆戻りすることになる。
これは、ハイテク株が伸びるには、理想の環境の一つだ。
いつ不況になるかはわからない。今年始まるかもしれないし、5年後に始まるかもしれない。
また、経済成長が鈍化した場合、ほとんどの銘柄が下落を続ける可能性が高く、すでに暴落している超成長ハイテク株も同様に一度は暴落するだろう。
ただ過去1年間に多くの成長株が暴落した最大の理由の一つは、明らかにそれが(特にコロナの後)買われ過ぎていたからだ。
だから、同じことがインフレでも言えるかもしれない。
もしインフレが行き過ぎ、景気後退に追い込まれたとしても、それはハイテク株にとって長期的には復活の追い風になるかもしれない。
最後に
不況は市場にある種のリセットをもたらす。
不況に突入したときの勝者が不況を脱したときの勝者になることはほとんどない。
今回の2022年初からの暴落、一見勝者はエネルギーに見える。
ただ、この地合いが変わった後も、エネルギーが勝者であることを確信している人がどれくらいいるんだろうか。
筆者は淡々と積み立てを続けていく方針だジェイ!
株を始めてみたけど、やり方が分からない。。。って人は以下で解説しているゴン~
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